11月5日、まさしく光の矢のような形をしたマシンが南アフリカ・カラハリ砂漠の塩泥平原、ハッスキーンパンを走行、通算6回目の走行で時速790Km/hを達成した。
BLOODHOUNDとよばれるマシンのドライバー、アンディ・グリーンは音速の壁(マッハ1)を安全に破ることができるデータを収集し、さらに研究を重ねていく所存だという。ちなみに地上速度記録は時速763マイル(1,227Km/h)だ。
ブラッドハウンドのパワーユニットは、ユーロファイターEJ200のジェットエンジンの推力で走行するため、様々な角度からデータを検証し、付随して空力装置を開発していくのだという。
今回のデータ取りについて、「EJ200は、最高時速500マイルまで、あるいはそれよりほんの少し下まで車を傾けました。今回の主な目的は、空力抵抗を測定するために、500マイルから200マイルまでの減速値を測定することでした。そして、すべてのデータを取得し、得られた数値を基に開発を続けていきます。」とグリーンは語っている。
ブラッドハウンドが発進してからは驚くべき光景だ。
この平原を覆っている乾燥した泥が空中に蹴り上がると、車はほこりの中に消える。ほこりがなくなると、ブラッドハウンドはどこにも見当たらず、暑い曇りの中から、地平線上に轟音が鳴り響く。
5日、2回目の実行が計画されていたが、10マイル(16 km)の滑走路の遠端で車体の損傷が見つかったため2回目の実験は中止された。
損傷と言っても深刻なことではなく、リアサスペンションを保護するチタンパネルが高速走行中の空力や砂埃によって脱落したとのこと。
このため、エンジニアはBloodhoundを修理するのに1週間かかるため、来週後半に再実験を予定しているという。言わずもがな、すべては天候次第ではあるが。
ブラッドハウンドには至るところにセンサーが取り付けられており、車の設計に入ったすべてのコンピューターモデリングを検証に役立っている。チームは、音速の壁に近づいたときのブラッドハウンドの挙動を車を走らせるだけで確実に見つけることができるようになっている。
このプロジェクトのリーダーでチームオーナーである実業家のイアン・ワーハーストは、昨年末に財政難に見舞われたこのプロジェクトを支援した一人である。
彼はプロジェクト支援を快諾し、スポンサーとしてブラッドハウンドの時速800マイル(1,280Km/h)オーバーを目指す陸上速度記録への攻撃に資金を提供していきたいと語る。
現在の地上速度記録は時速763マイル(1,228km / h)で、1997年にウィングコマンダーグリーンによって達成されているが、我々は「安全に」達成することで、音速であるマッハ1を超える車輪付きの乗り物を開発していきたいという。
なお、ハクスケンペンは標高700mであるため、「音速の壁」は約1,192km/hとなる。
via: BBC