わずか349台の生産台数の1台であるこのF50について、2019年12月、ニューヨーク州バッファローでピースブリッジ入国港の米国税関国境警備局の職員が税関で調査したところ、カナダのケベックからフロリダの自動車コレクターに輸入されていた車で、さらに詳しくフェラーリ社と国家保険犯罪局に調査を行ったところ、2003年3月にイタリア・イモラの駐車場からF50が盗難にあっていたことが判明し、元の所有者がイタリア在住のパオロ・プロヴェンジという人物であることがわかったという。
しかし、ここで所有権がどちらにあるかについての問題が発生。
これについてイタリアの元のオーナーは、盗まれる約1か月前に父親とともにこのフェラーリを購入したことを主張し、当然のことながら車を取り戻したいとしているのと同様に、2019年9月に143万5000ドルで盗難されたF50を購入した新しい所有者のフロリダの男性、モハメッド・アルサロウシも所有権は自分であると主張しているという。
イタリアの所有者の弁護士によると、このF50はオーナーが変わるたびに世界中を行脚しており、とある段階では日本で長く登録されていたと話している。
一方、フロリダの所有者の弁護士は、新オーナーは「アメリカ政府が発行するれっきとした車両登録証を所有している」と述べており、付言してこのフェラーリが盗難車であったことは購入当時知る由もなかった、と主張。さらに厄介なことに「ごく最近、また別の申立人の存在も発見しました」と語ったという。
続けてフロリダの新オーナーの弁護士は、「2003年の売却と盗難の疑いを取り巻く事実と状況について多くの疑問が山積しており、この場合他の申立人が出頭した場合はその申立てを取り巻く事実と状況について徹底的に調査するつもりであるとし、むしろ我々はこの訴訟の提起を待ち望んでいたもので、迅速にこの問題が解決されることを切望している。」と語ったという。
イタリアとフロリダのオーナー二者どちらかに車の所有権があるのか。
米国連邦検事局は、いよいよ法廷が車の正当な所有者を決定する時が来たと伝えている。
source:CNN