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あおり運転の罰則厳格化と高齢者運転技能検査を追加
今回の道路交通法の改正では「あおり運転」も厳罰化されることから、社会現象として問題となっている危険運転の根絶を求め、法整備の急務事項として警察が現在行っている取り締まりで適用する刑法の暴行罪などよりも重い罰則規定を新たに追加されます。
くわえて行政処分も強化することで一度の違反でも即刻免許取り消しができるようにし、あおり運転の根絶を期待する内容となっています。
これまであおり運転は道交法上に明確な定義がなく、警察は道交法の車間距離保持義務違反や刑法の暴行罪(2年以下の懲役か30万円以下の罰金)などの容疑を適用して取り締まりを行っています。
また、高齢者による「踏み間違え」による事故も社会問題化し、免許更新時には違反歴を持つ高齢者へ技能試験を追加導入し、定められた技能項目に合格できなければ更新ができなくなります。
あおり運転の定義化
危険運転の細分化
あおり運転の罰則厳格化や高齢ドライバーへ免許更新時の技能検査の追加の導入を盛り込んだ、道路交通法の改正案が閣議決定されました。
今回閣議される改正案では、
①車の通行妨害を理由とした執拗なる車間距離の不保持
②割り込み
③急ブレーキ
④対向車線からの接近
⑤危険な追い越し
⑥パッシング
⑦無駄にクラクションを鳴らす
⑧幅寄せ、不必要な車線変更の繰り返しも含む蛇行運転
⑨最低速度未満(あおられ運転)での走行
⑩違法な駐停車
といった10項目を細分明示化し、これらの危険運転行為を「あおり運転」として定義化することとしています。
罰則規定も厳罰化
罰則は、「3年以下の懲役、または50万円以下の罰金」と規定し、高速道路および一般道で不必要に車を停止させるなど危険行為を伴う場合は、「5年以下の懲役、または100万円以下の罰金」と定め、免許取り消しも盛り込まれることになっています。
なお、改正後は執拗にこれらの行為を繰り返した場合に、通行妨害の意図があると認定され罰則が適用されます。取り消し後に再取得が可能になるまでの「欠格期間」を、3年以上の酒酔い運転などの違反と同程度となるように検討される見込みです。
条件付き高齢者の運転技能試験の義務化
75歳以上の高齢者を対象に、一定の違反歴がある人は免許更新の際に「運転技能検査」を受けることを義務付け、基準に合格できなければ更新ができなくなります。
新制度における運転技能検査では、教習所のコース上で実際に運転する状況を判定します。これに合格できない場合は免許の更新ができなくなります。
また違反歴がなくとも70歳以上の高齢者には高齢者講習において技能検査と同等の内容で実車指導を行い、各検査事項をスコア化して結果の通知を行い、技能不足の自覚を促し改善化を図るものとしています。
今国会で改正案が成立すれば、あおり運転の罰則は今夏まで、高齢ドライバーの技能検査は2022年をめどに施行される見通しとなっています。