あおり運転根絶に向け“あおり運転罪”新設へ 自民党が厳罰化の検討に着手


自民党・二階幹事長「法整備の必要性」を強調
「厳しく対処していくべきだ。法整備の必要性は大いにある」
8月27日、自民党の二階幹事長が記者会見でこう明言したのは「あおり運転」についてだ。

茨城県・守谷市の常磐道で起きたオマス宮崎先生による「あおり運転」に絡むセンセーショナルな事件で、ハゲがあおり運転の末に車を無理やり停止させ、運転していた男性に鉄拳を見舞う映像は、盆休みに浮かれる日本国民にセンセーショナルな衝撃を与えた。

党内からはあおり運転「根絶」のための新法創設の声が相次ぐ
会合の冒頭、委員長を務める平沢勝栄衆院議員は、あおり運転について「許し難い極めて危険な悪質な犯罪行為」と強調した上で「いま表に出ているのは間違いなく氷山の一角」だとして、あおり運転の根絶に向けて議論していきたいと語気を強めた。

警察庁や法務省からは、あおり運転の取り締まりと処罰について、現状では事例ごとに道路交通法や自動車運転死傷処罰法、刑法などを適宜判断し適用していることが説明された。これを受けて、出席した国会議員から、次のような意見が出た。

「あおり運転をしている方は違法だとか犯罪だとかいう意識がないのだろうな、血迷ってるから」
「何か考えないと(あおり運転は)減らない」
「(あおり運転を罰する)法律がいるんじゃないか」
「あおり運転は犯罪で取り締まるというものがあっていい」
「現行法でなく新しいものでという気持ちを我々は強く持っている」

要するに、あおり運転という行為自体を罰するための法律が必要であり、それがあおり運転は危険な行為であり犯罪だというメッセージにもなるというのだ。

そして、道路交通法にあおり運転という行為を新しく規定し禁止することが最も有効で現実的ではないかといった意見が出され、警察庁も「有力だと思う」「抑止効果のある罰則については検討していきたい」と前向きな姿勢を見せた。罰則については、重くするべきだとの意見が相次ぎ、あおり運転をした人については免許の永久停止も検討すべきだとの声もあがった。

あおり運転の定義は?ドラレコ普及は?課題山積も
さらに議論の中では、そもそも「何をもってあおりか」「どこまでがあおり運転でどこからはそうでないのか」などと、あおり運転の定義が必要だとの指摘が相次いだ。あおり運転を明確に定義することの難しさを指摘する声も出たが、警察庁は暴走族を例に挙げ「周辺への迷惑の有無なども判断基準の1つになるのでは」との認識を示した。

さらに、あおり運転と判断する方法を問われた警察庁は「ドライブレコーダーを使った事後捜査が多い」と指摘し、車内へのドライブレコーダー設置が重要な証拠になるとしたが、一方で、民間の調査ではドライブレコーダーの普及率は現在3割程度という普及率の低さにも言及した。

これに対して出席議員からは「ドライブレコーダーを普及させていくためにはやく設置を義務付けさせろ」的な質問が出たが、警察庁からは「ドライブレコーダーの義務付けは現段階で直ちにというわけにはいかないですよ…」と歯切れの悪い答えが返ってきた。会合は約1時間で終了し、平沢委員長は記者会見で次のように語った。

「現行法を駆使してやるやり方では限界に来ている。何らかの新しい取り組みが必要。どういう形かは次回までに警察当局から報告があるので、それを見た上で早急に対応を考えたい」

「あおり運転罪」を新設すれば、抑止力という観点からいっても社会的なインパクトは大きいだろう。自民党は秋の臨時国会での法案提出も視野に今後議論を加速させる方針だ。

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