自動ブレーキについて約半数の人が誤解 過信は禁物

クルマの安全技術は日々進歩しているが、その最先端技術が、かえって事故を招きかねないとも考えられる衝撃のアンケート結果が出ていた。

◇ 「自動ブレーキ」について、半数の人が「誤解」 

JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)によれば、同組織によって実施された「ASV(先進安全自動車)の認知度等に関するアンケート調査」の結果である。

「ASV」とは、いわゆる「ぶつからないクルマ」といった先進の安全運転支援機能を備えたクルマのことで、主な機能は「衝突被害軽減自動ブレーキ」である。メーカーによっては、「ぶつからないクルマ」や「プリクラッシュセーフティ」などさまざまな呼び方があるが、ここでは簡単に「自動ブレーキ」とする。

このアンケートによると、「『自動ブレーキ』や『ぶつからないクルマ』のことを知っている」という人が実に97.3%にも上るのに対して(「まったく知らない」と回答した2.7%を除く数字。なお、「名称を知っている」との回答は81.1%)、「機能の働き方や効果を知っている」という人は50.4%、「装置が作動しない場面などの注意点を知っている」という人はわずか24.8%しかいなかった。つまり、名前は知っているが、どんなものかを知っている人は半分で、さらに詳しく内容まで理解している人は全体のたった4分の1だったということである。

特に注目したいのは、ASVの購入に興味を示した人のうち、「自動ブレーキ」を「クルマが自動でブレーキをかけて停止してくれる装置」と考える人が39.8%もいたこと

しかし、実はこれが大きな勘違いのもとであり、「自動ブレーキ」は確かにブレーキを作動させるが、「ぶつかる前に必ずクルマを止める」と約束するものではないということに注意したい。多くの人が「止まる」と信じているようだが、実際には止まらない場合もあるということ。それが現状現実だ。

◇ 現状、「絶対に止まる」など夢物語 

「自動ブレーキ」は「ブレーキを作動させる」だけで、いわゆる「自動運転」とは違う。止まるか止まらないかは、速度とタイヤと路面の摩擦、クルマと障害物との距離の関係によりケースバイケースで、F1のようなすごい性能のブレーキでも、100km/hで走る車を10mまたはそれ以内で止めることなど不可能なのである。

路面が濡れているなど滑りやすければ、さらに制動距離は長くなり、止めるのはさらに難しくなっていく。

つまり、物理法則の限界であるのだ。

また、頭においておきたいのは、ASVはまだまだ発展途上の技術であること。NASVA(自動車事故対策機構)が公開している、クルマの安全性能を検査するJNCAP(自動車アセスメント)の試験結果においても、ASVが確実に衝突を回避するものではないことが示されている。将来、完全自動運転が実現できれば、「必ずぶつからないクルマ」も実現可能かもしれないが、しかし現状において「絶対に止まる」は夢のまた夢の物語といえる。

加えて、「自動ブレーキ」にもいろいろな種類がある。大まかに言うと、低速度でしか作動しないもの、高速度まで対応するもの、がそうである。カタログの説明をきちんと読むと、「50km/h以上は作動しません」や、「10km/h以下では作動しません」といった注意書きが書いてあるはずだ。

低速度帯でのみ作動する自動ブレーキでは、普通自動車の一般道における法定速度である60km/hの走行に対応できず、逆に渋滞時などでは効かないシステムもあるということだ。

 

さらに、使うセンサーごとに性能の違いもある。

たとえばスバルの「EyeSight(アイサイト)」はカメラだけなので、安価でコストパフォーマンスに優れているが、視界の悪い逆光や霧では性能を発揮し辛い。

こうしたシステムの死角をなくすために複数のセンサーを使っているクルマもあるが、当然モノが増えれば価格に比例するため、いかなる車においても現状、難しいといえる。

「自動ブレーキがあれば安心」なのではないということを念頭に置くことが重要なのである。

ところが前述のように、約4割もの人が「自動ブレーキ」を誤解、あるいは過信ともいえる認識をしているようで、これは今後の問題にもなっていきそうだ。

◇ 最新技術もやっぱり過信は禁物 そなえよつねに 

自分の愛車の「自動ブレーキ」がどのような条件で作動するかを知らないと、「止まるはずが当たった」という事故にあいかねない。

また、アンケートの結果から、「自動で止まるのだから、多少は大丈夫」「自動だから、少し目を離しても大丈夫」などと思いながら運転している人がいるはずである。よもや「『自動ブレーキ』の存在自体が危険」という意見もいずれ出てくるだろう。

新しい技術を巷に浸透させるときには、やはり一般への啓蒙が最も重要である。

やはり最新技術があってもそれにすべて依存せず、自分の目で見て判断し、細心の注意を払いつつ身近な危険に備えた運転が必要なのである。

そなえよつねに。なのである。

※ボーイ・スカウトの有名なモットーである。

「いつなん時、いかなる場所で、いかなることが起こった場合でも善処ができるように、常々準備を怠ることなかれ」を表す。

via: くるまのニュース

 

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